働く人と、sawviの服。Vol.05「たんの和菓子店」丹野耕太さん 丹野光さん

ご無沙汰しております。ここ最近は仕事、仕事。そして仕事が終わったらまた仕事。どこまでも働き詰めな日々を過ごしております。
久方ぶりの「働く人と、sawviの服。」執筆は自撮りおじさん。

第5回目は、横浜市金沢区にて「たんの和菓子店」を営んでおります丹野耕太さん、丹野光さんにお話を伺いました。

私が大好きな夫婦。とあるきっかけから距離がグッと近づき、事あるごとにご贔屓いただいて仲良くさせていただいております。
お店の凛とした佇まいやご夫婦の醸し出す柔らかな雰囲気など、まるでミュージアムの一角にでも迷い込んだかのような本当に素敵な和菓子店です。今回はそんな「たんの和菓子店」丹野ご夫妻の魅力に迫っていきたいと思います。

Vol.05「たんの和菓子店」丹野耕太さん 丹野光さん

「たんの和菓子店」丹野耕太さん 丹野光さん

四季折々の美しい上生菓子を。

金沢区は釜利谷の通りに位置する「たんの和菓子店」。

たんの和菓子店

そのミニマルで洗練された佇まいがまるでそこだけ別の空間に切り取られたような、派手さは無いのに無視も素通りも出来ず目で追ってしまうような。入店する際に「埃とかついてないかな、大丈夫かな」と襟元を正されるような。このように語ってはおりますが、この写真から色々と感じ取っていただければ幸いです。

たんの和菓子店

たんの和菓子店

創業より10年以上、この金沢区にて和菓子を作られているこちら。

たんの和菓子店

四季折々の生菓子が綺麗に鎮座した、まるで近代美術館のような雰囲気の洗練された空間。開業当時にお店を構えていた場所を現在の場所に移店してから約二年と半、丹野夫妻の持つ類い稀なるセンスが遺憾なく発揮された店内を見渡しながら、ひとつひとつが丁寧に彩られた色彩豊かな菓子を選ぶ。贈られた人の喜ぶ顔が目に浮かび、思いを馳せながら思わず口元が綻んでしまう瞬間です。

丹野耕太さん 光さん

「たんの和菓子店」丹野耕太さん 丹野光さん

学業を修了してから和菓子に打ち込み続けること20年以上の和菓子職人である店主の丹野耕太さん。そして、当初より職場を同じくして和菓子のイロハを共に探求し続けてきた奥様の光さん。

店舗の佇まいや洗練された美しい数々の菓子から鑑みると「お堅い感じなのかなぁ」と想像されがちですが、実際はその真逆。
気さくで柔らかで、人当たりが良くて面倒見が良くて。どこまでも気持ちのいいお二人の雰囲気が、お話している最中もずーっと心地よくて。いつまでも身に纏っていたくなります。

「たんの和菓子店」丹野耕太さん 丹野光さん

「いつもは私がチャキチャキっとしていて、耕太さんがほわーっとしながら優しく笑ってる。でも大事な時にはとっても頼りになるし、持ち前のこだわりと頑なさで皆を引っ張っていってくれるのが彼です。」照れ臭さを隠しながら笑顔で語る光さん。

彼女もまたお店の雰囲気の中核にいて、入ってきた人の緊張を程よく和ませる話術と魅力を持っています。付かず離れず、親身であり丁寧であり、スッキリしているようで柔らかく寄り添ってくれるような。そんな感じ。

「たんの和菓子店」丹野耕太さん 丹野光さん

元々は大きな和菓子屋の工場長を務められていた耕太さん。自身の持つ技術や感性を生かすべく日夜奮闘されていた中で、ある日偶然人づてに舞い込んできた「暖簾を畳む和菓子屋のテイクオーバー」の話を機に、独立開業への道を歩まれていったそうです。

「たんの和菓子店」丹野耕太さん 丹野光さん

私も一応は開業畑の人間なのでその苦労の一端は垣間見れるとは言え、やはり順風満帆に行かないことは日々山のようにあるもの。「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもので、奇妙なことや運命的なものを数多も乗り越えて今があると笑いながら語るのは耕太さん。

丹野耕太:人との出会いやモノとの出会い。色んな出会いと偶然の紡ぎ合いで僕たちは今ここにいるんです。

丹野光:機会がこちらに手を伸ばしてきた時、いつでもしっかり掴めるように準備していないと。その連続が今の私たちを作ってきました。

私がたんの和菓子店に出入りするようになってからというもの、本当に様々な出会いがありました。
その中心でありステーションの役割を担っているのが同店であり丹野夫妻。
絶えず人が集い、その美しい和菓子に見惚れ、また大小の土産話をたくさん持って友人知人が訪れる。そこでまた話が盛り上がって、笑顔と笑い声が店内を彩る。

「たんの和菓子店」丹野耕太さん 丹野光さん

洗練されシュッとして凛としたその店内の佇まいとは裏腹に、人の声と笑顔がいっぱいの明るく賑やかな店。お二人の出会ってきた色々を垣間見るたびに、こちらの心まで踊り出す感覚に襲われるような。出会いを大切にされて、機会を形に変えてきたお二人ならではの本当に素敵なお店。詳細は割愛しますが本当に多岐にわたる苦労話や面白話の色々に思いを馳せ、この空間にいると知らず知らずに「いやぁいい場所だよなホント」とか呟いてしまいます。この夫婦がいいですからね、そりゃ場所も良くなるに決まってます。

丹野耕太:夫婦でやってきたからここまで来れたし、居ないとやっぱりダメなことも多くて。家庭のことや店のこと、思い返してみるとやっぱり助けてもらったことが多いですね。ありがたいですホント。

「たんの和菓子店」丹野耕太さん

奥様と一緒に生活し仕事をしながら、時にはぶつかったり鼓舞しあったり。協力して子育てと仕事を両立しながら、心地よい距離感でいつも二人同じ時間を過ごしている。ひかりさんが居ないところで照れ臭そうにお話する耕太さんの、優しい人間性が垣間見れる時間です。

和菓子を、つくる。

たんの和菓子店

丹野光:和菓子の世界って決まり事が多くあって、その中で私自身知らないこともまだまだ多くある。知らないことを知らないままで終わらせることの方が恥ずかしいから、知らないことは教えてもらうし、知らないことを隠したりしない。耕太さんにも、友人にも、お客さまにも。そうやって出来上がったものや関係は宝物になるし、本物だと思う。

季節の彩りを菓子に添え、今回の和菓子「落とし文」を丁寧に作りながら語るひかりさんの真面目な眼差しに、深い感銘を受け。
落とし文とは茶菓子にもよく使われるお菓子で、練り切りを葉のように形作った上に白い球を乗せます。

たんの和菓子店

ちなみにこれ、葉っぱを切って丸めて卵を産み落とす「オトシブミ」という昆虫とその卵を表しているんだそう。練り切り製とはいえ、虫をモチーフにしたものに最初は戸惑いを隠せなかったそうです。

「たんの和菓子店」丹野光さん

丹野光:白球を乗せないで作ったこともあったんです。でもある時お客さまから指摘されて。自分達の想像とはまた違う侘び寂びの文化、それを聞きかじるのではなく自分のものにしたいって思いも強くて。だから私はこれからも、何にも知らないスタイルで色んなことを吸収し続けて、一人前のお菓子屋さんになるんです。

「たんの和菓子店」丹野耕太さん 丹野光さん

和菓子の世界にて長く第一線で活躍するお二人。なのにその目はまるでまだ見ぬ地への冒険を前にした少年のように、ワクワクキラキラ光っていました。

仕事の服。

たんの和菓子店

お二人は和菓子の職人さん。日常的な作業のなかで「水仕事」が多く、袖を捲る動作が邪魔なため半袖もしくは長袖を着る機会が殆ど。また餡を作る過程で汚れることも多く、その前掛けもかつては深いインディゴであった事を思わせるような歴史ある仕上がり。

お二人のヘビーデューティな用途にマッチした服としてarmiのHardmansmartという選択。

「たんの和菓子店」丹野耕太さん 丹野光さん

Hardmanは和歌山の吊り編機を使って織られたコットン100%のガシッとしたTシャツで、何度洗っても形が崩れることのない一生モノ。今年初となる大きなシルエット「BIG Tee」は、身長や体型を選ばない絶妙なサイズ感で体を包んでくれます。

smartは裏地に多機能なメリノウールをあしらい、表地にエジプト綿のソリッドな白をあしらった贅沢な一着。「着るエアコン」と呼ばれるほど夏涼しく冬は暖かく、一年を通して肌に触れさせていたくなるTシャツ。今年分はもうメーカー完売しており、大変人気な品番です。

一生をかけて長く楽しむモノ。自分の歴史が刻まれた服には、何にも代え難い魅力が宿ります。

たんの和菓子店

実はお店のディスプレイは耕太さんのコレクションばかり。

たんの和菓子店

フランスのアンティークや古材など、それを選ぶ審美眼もさることながら実に小気味良い配置で鎮座しています。モノを大切に扱い長く愛でる楽しさを知り、また自分の傍に寄り道しにきたモノに目をやり愛でる楽しさを知る。丹野さんらしい一幕です。

それが持つ「魅力」という不変のもの。
長い年月を経て古くなっても、例え過去のものになっても、それは然として失われる事がないもの。
変わることのないものと、移ろい変わっていくもの。
知ってること、知らないこと。
ただ自然に通り過ぎるのもよし、引っ掛かって腰を下ろして眺めるのもよし。
何が良くて何がダメなのか、そんな両極ではなく「好きなことだからずっと傍に有り続けたい」のチャンネルを持っている事の幸せ。古きを捨てるのではなく新しさを軽蔑するでもなく、古きを知らない体験したことのない人に教え伝えることで新しさを知り新しい境地を育む。機会があれば飛び込んで、手を繋いで呼吸して。その力を蓄える準備期間が今だから、その瞬間のために今一生懸命やれる事をやる。

たんの和菓子店

丹野夫妻に話を聞いた私、その素敵な言葉と考え方にほっこりして、この記事を書きながらまた余韻でほっこりしています。
今回の訪問ではこの後も楽しい話や全然関係ない話など、終始ずっと話し込んでしまって長きに渡りお仕事の邪魔をしてしまいました。ごめんなさい。
素敵なお店のオーナー夫婦として、そして大好きなお友達として今回紹介できた事がとっても嬉しく思っています。

次回の「働く人と、sawviの服。」では紹介したい人が本当にたくさんいて、でも取材の時間が中々取れずでキーっとなりそうですが、また時間を見つけて皆様に素敵な働く人達をご紹介できたらと思っています。

それでは、また。

– WORKWEAR

丹野耕太さん 丹野光さんが身につけているアイテムはこちら。

「たんの和菓子店」丹野耕太さん 丹野光さん

耕太さんトップス:armi HARD MAN CREW NECK BIG TEE
光さんトップス:armi Smart WOOL×COTTON CREW NECK TEE

– たんの和菓子店

たんの和菓子店

住所:〒236-0042 横浜市金沢区釜利谷東2-10-1
TEL:045-782-8756
ACCESS:電車 金沢文庫駅西口より徒歩5分
WEB:https://tanno-wagashi.com/
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