働く人と、sawviの服。Vol.06「たんの和菓子店」丹野耕太さん 丹野光さん

2022年は激動の年。世界にとっても、日本にとっても、もちろん私たちsawviにとっても数々の変革が訪れました。
そんな当店、小さな変化の一つに「Re:boot」がありました。これまでのsawviの顔であったジーンズがharuhitoの手によってその姿を一新させました。

sawvi

7月の展示会を機にロールアウトし、一瞬で完売してしまうほどの人気ぶりを見せた今作。ようやく第二弾が入荷したこの11月、新色のグレーが新しくラインナップに加わりました。

sawvi ツールベスト&エプロン

Tool vest & Apron Gray

インディゴと同じく和紙を編み込んだグレーのデニム生地。より軽く着心地の良い仕上がりになっています。
そんなRe:bootの火付け役であるharuhito代表取締役の小西健太郎氏を引き連れて、今回は「たんの和菓子店」にお邪魔させていただきました。

sawvi たんの和菓子店

今回の目的はそう、見頃を迎えたRe:bootの収穫。小西氏が「たんの和菓子店」に再訪した際の記録、今回のRe:bootアイテムを実際に作業の現場にてご使用いただいている丹野耕太さんとひかりさんとの素敵なやりとりをここに記していきたいと思います。

和紙を織り込んだ新しいデニム

sawvi 働く人とsawviの服

今回のRe:bootにて発表した生地、こちらはharuhitoの小西氏による発案のもと生み出された世界初の素材で、その構成の大きな部分に和紙がふんだんに使用されています。和紙の持つ展性や速乾性、何より軽量さが織り成す軽やかでサラリとした着心地は、着用する人が感じる服からのストレスを跳ね除けるような、そんな魅力に富んでいます。そしてたんの和菓子店ではその服をスタッフの皆様のワークウエアとして使用していただいております。

日常にある「和菓子づくり」の時間が刻まれたその姿を見て、より一層の嬉しさが込み上げてきます。

sawvi たんの和菓子店

ひかり:お客様からの反応も上々で、何より軽くてガシガシ洗い込んでも可愛いから私たち夫婦がすっかり気に入っちゃってます。

sawvi たんの和菓子店

耕太:僕は仕事柄よく中腰になったり物を持ち上げるからか膝をよく使うのでそこが色落ちしちゃってますね。

日々酷使されるのは、体だけではなくその服も同じです。だからこそ新品のまま汚れないようにヨレないように使うこともいいですが、こうやって使い倒して歴史が刻み込まれた服に宿る美もまた素晴らしく良いものです。

sawvi たんの和菓子店

耕太さん・光さんツールベスト&エプロン:Tool vest & Apron Indigo
耕太さん・光さんデニム:Regular trousers Indigo

 

それぞれの時間を刻む服。

日々の変化の中にいると忘れてしまいがちな時間の流れ。そしてそれは一方的なものではなく捉える人や場所によってその様相は千差万別。今回、たんの和菓子店さんにお邪魔して、その服に刻まれた独特の時間軸に触れることができました。出迎えてくれた丹野耕太さん、そして奥様のひかりさんが身につけているRe:bootのエプロンとデニムの写真、それがその全容であると小西氏は感嘆の意とともに語ります。

sawvi たんの和菓子店

小西:こうやって見ると本当に良いですね!使っていただいている日々の姿を想像するだけでワクワクします。

耕太:本当に毎日使ってますからね。汚れるから毎日洗うし、洗うたびにキュッと締まるから使用感は出てきてもヨレ感が全くなくて気に入ってます。僕のは膝がよく色落ちしていたりと個性が結構出てきているのも面白いですよね。

sawvi たんの和菓子店

ひかり:こうやって並べてみると違いが一目瞭然だなぁって。同じ仕事をしているつもりでも、その使われ方が全然違うというか。

小西:時間を刻む、というのがしっくりくると思っています。同じ時間を共有していても、動かす箇所やその運動量は人によってその瞬間ごとに千差万別ですから。季節の移ろいをお菓子で表現している丹野夫妻だからこそ時間の流れを人一倍肌で感じ、それが手仕事としてそれぞれの差になって服にも表れているのかと。

変わりゆく季節と、変わることのないもの。

sawvi たんの和菓子店

季節の移ろいと時代の流れ。そんな風流を形にしながらも、それを変えてはいけないという矛盾の中で苦しむ姿もまた、丹野夫妻に出会った事の意味であると小西氏が言葉を走らせます。

小西:時間の変化や季節の変化を表現しながら、一方で変えてはいけないものを守り伝えていくことの重圧というのは、特に和菓子のような伝統的な世界においてはより大きく感じるものだと思っています。そんな中で丹野さん達は日々新しい感覚でお菓子を作られているなぁと日頃から見ているのですが、きっと打破する上での苦労や伝えることに難儀されているんだろうなぁと。

sawvi たんの和菓子店

ひかり:実はお菓子作りの本筋というか作り方やレシピは変わっていないんです。ただその伝え方はどんどん変わっていくべきだなって思っています。だから「新しい」と感じてもらっている部分があるとすれば、きっとその伝え方が私たち独自のものであるからだと思います。やっぱり季節と共に和菓子はあって、それを色と形や味に落とし込んで表現するのが和菓子です。だからこそ伝える事、守らなければならない事が多く現代の文化と乖離していくジレンマも持っています。例えば六月に食べられる水無月の三角があるようにように、風習や季節を表現するものを現代の文化に置き換えて伝える事の難しさもあれば、例えば上生菓子の使われ方や在り方ひとつを取ってもそうであるように。和菓子にはお抹茶しか合わせちゃいけないという考えではなく、例えばコーヒーや紅茶と一緒に飲んでもいいし、ミルクと一緒に食べて楽しむお子さんがいてもいいし。とにかく「美味しい」のひと時のためにあるものであって欲しいと思っているんです。

小西:伝えるための手法は時代に併せて変化していくべきですからね。服作りについても同じで、時代の流れやトレンドといったものに左右されつつも、やってる事は目新しさのない往年の服作りでしかない。その伝える手法が「新しい」と評価されることはあっても、本質はいい意味で変化することがないと思っています。変化するものがあるとすれば、それは伝える言葉や表現の形であると痛感しています。丹野夫妻が直面している苦しみ、しっかり共感させていただいております。

耕太:小学校の食育の一環で、バケツで米を育てる授業にて子供たちとお菓子を通して触れ合う機会がありました。育てた米をお菓子に加工して食べてみたいとのことで、その収量はたとえ少ない物だったとしても、季節や時間の移ろいとともに自分が育てた苗が稲に変化をして、それがまた形を変えてお菓子として目の前に現れる。そこで感じた味と感動は、どんな言葉を並べるよりも深く刻まれるだろうなぁと思ったわけです。そんな手伝いができて非常に有意義な時間だったなぁと。

sawvi たんの和菓子店

小西:これをきっかけに和菓子のおいしさや美しさに触れた子供たちも数多くいたでしょうね。その子たちが大きくなって、きっと自分のお金で和菓子を買いに来てくれるでしょうし、和菓子からお抹茶の世界を知る機会にもなったりとか。たとえばかつて日本の識字率の高さに貢献していた寺子屋という文化があるように、たんの和菓子店さんのような人たちが現代の和菓子の寺子屋として「文化の識字率」を上げているのだなぁと日頃から感じています。

ひかり:そうやって好意的に感じてもらえるのは本当に光栄ですね。これからも私たちなりの和菓子をいろんな人にいろんな手法で伝えていけたらと思います。

今回、このような形でたんの和菓子店を訪問し、素敵な時間の流れに触れることができました。素敵な場所には素敵な人やモノが集い裾野を広げて行く、とても良い時間を共有させていただきました。

執筆:sawvi 寺坂寛志

TANNO WAGASHI / Nu J-FUNK sawvi mix

丹野和菓子をイメージした日本生まれの楽曲を中心に現代のグルーヴに落とし込んだオリジナルMIX
『古き良き』を既存の枠に囚われず現代に独自の感性でアップデートする2人を思い浮かべながら…

1,Natural beauty
2,Ashitaka with San
3,MKWAJU
4,rinse in shampoo
5,Brazllian Rhyme
6,Plastic Love
7,What’s DISCO?
8,I’m in Love ,feat HIKARI
9,Spring Rain
10,Town
11,Red train (KANAZAWA-BUNKO)
12,Dance to my Song
13,THE GLORY DAY

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